米連邦最高裁判所は6月29日、トランプ米大統領が連邦準備理事会(FRB)のリサ・クック理事を当面解任できないとする判断を下した(5対4)。ただし、この決定により、ビットコインにとって最悪のタイミングでFRBの独立性が維持される格好となった。
この判決により、すでに2026年の利下げ観測を排除し、利上げ再開の可能性も示している「タカ派」FRBの体制が固定化された。高金利はビットコインのような無利回り資産への圧力となる。今回の決定で、FRB理事会が当面ハト派に傾く可能性はさらに狭まった。
クック理事の続投は金融政策に大きな影響を与える。トランプ大統領は、より利下げに前向きな理事を就任させるため、同氏の解任を目指していた。しかし最高裁はこの動きを阻止した。
今回のタイミングは暗号資産市場にも影響を及ぼす。6月の連邦公開市場委員会(FOMC)では2026年の利下げ予測が完全に撤回され、利上げの可能性が再浮上した。6月を通じてビットコインETFの資金流出が続き、投資家は無利回り資産から資金を移している。
ビットコインは月曜日に6万ドルを下回り、過去最高値から50%以上下げている。
最高裁の今回の判断により、ウォーシュ主導のタカ派FRB体制が維持される方針がより強まった。下級審で本件が解決するまで、トランプ大統領はFRB理事を自由に解任できない。
クック理事への訴えは、FHFA(連邦住宅金融局)のビル・プルテ局長による住宅ローン詐欺の疑惑が中心となっている。プルテ氏は2025年8月、クック氏が2021年にミシガン州とジョージア州の2件の不動産を、それぞれ数週間の間隔で主たる居住地として申告したと指摘。なお、これは同氏がFRB理事に就任する以前のことだった。
クック理事の弁護士は、この主張には根拠がなく、1件の住宅ローン書類に曖昧な記載があるだけだと反論している。
クック氏とその支持者は、この問題が持ち上がった時期こそが真の動機を示すと主張。トランプ大統領は数か月にわたりFRBに早期利下げを求め、その後、利上げ維持に票を投じた直後にクック氏の解任に動いた。最終的に最高裁は解任を認めなかった。
とはいえ、この事案が最高裁にまで持ち込まれたことで「証明」がなされた面もある。トランプ大統領がウォーシュ氏を指名した経緯が示すように、FRBへの政治的圧力は理事の解任がなくても、適切な議長を選出するだけでも成立しうる。


