米国とイランがホルムズ海峡の再開を合意したことで、米国民は約2か月ぶりにガソリン価格が4ドルを下回る水準を目の当たりにしている。ホワイトハウスはこれをトランプ米大統領の勝利と強調しているが、アナリストは世界の原油市場が平常を取り戻すには依然として長い道のりが残ると指摘する。
ガソリン価格は現在、1ガロン当たり4ドルを下回る見通しだが、6月14日の合意前からすでに3週間連続で下落していた。5月21日以降、全国平均は4ドル56セントから4ドル12セントまで低下した。原油価格は1バレル100ドルを下回って推移している。
イランとの合意はガソリン価格を4ドル割れに押し下げたが、なお1年前の同時期と比べて28%高い。昨年は米国民が1ガロン3ドル13セントでガソリンを購入していた。
今回の合意は、世界の原油の5分の1が通過する水路、ホルムズ海峡を対象とする。国際指標となるブレント原油は6月15日月曜日に5%下落し、1バレル83ドル13セントとなった。3月9日の過去最高値119ドル50セントから約30%下落したかたち。
ホワイトハウス高官は、タンカーの通航数が直ちに増加し、まもなく1日50隻程度となる見通しを明らかにした。現在は25隻程度である。戦争開始前は1日あたり約130隻が通過していた。
米エネルギー情報局(EIA)によると、米国の戦略石油備蓄は1983年以来の低水準となり、次なるショックに備える余地がほとんど残されていない。
ラピダン・エナジーのボブ・マクナリー社長(元ジョージ・W・ブッシュ政権のエネルギー顧問)は、市場は「歴史的な15億バレルの供給減」を吸収する必要があり、これには「数週間から数か月」がかかると警告した。
価格下落の時期もホワイトハウスの説明を複雑にする。日曜の合意発表前の3週間ですでに44セント下落していた。イラン合意の寄与分はそのうち約13セントとされる。
消費者インフレ率は2月の2.4%から5月に4.2%へ上昇し、2023年4月以来の水準を付けた。連邦準備制度理事会(FRB)は新議長ケビン・ワーシュ氏の下で今週会合を開く。アナリストは政策金利の据え置きを見込む一方、FRBが利下げ方向への示唆を削除する可能性がある。
原油安はインフレ指標への圧力を弱め、年内の利下げ実現への道を開く材料となる。ビットコインを含む暗号資産市場では、金利低下とインフレ鈍化がリスク資産への資金流入を促す主な要因とされる。
現時点では、米国民のガソリン負担は軽減されている。この恩恵が続くか否かは、スイスで署名された合意が現実の場で維持されるかにかかる。


