今週は市場全体が堅調に推移し、原油価格は下落、和平合意が締結され、スペースXは世界で5番目に大きな企業となった。それにもかかわらず、なぜナスダックとS&P500だけが主要指標の中で逆行しているのか。
米国で最も注目される2大指数を同時に押し下げている要因は2つある。利下げ観測を打ち消したタカ派姿勢の米連邦準備理事会(FRB)、そして両指数の大部分を占めるテクノロジー銘柄から資金が流出しつつある資本移動。
トランプ米大統領がイランとの和平合意を発表した日、ナスダックは約3%上昇し、S&P500もほぼ2%上昇した。しかしその翌営業日、両指数はともに下落。ナスダックは0.41%下落し、S&P500は0.19%安となった。一方、ダウは両指数が下げる中で史上初めて5万2000の大台を突破した。
この背景にはFRBがある。ケビン・ウォーシュ氏が6月16日のFOMC声明から金融緩和姿勢を削除し、ドットチャートも2026年の最後の利下げ予想を取り下げた。インフレ率が4.2%に達する中、金利が低下するよりも高止まりする可能性が高まっている。
その影響をダウ以上に受けるのがナスダックとS&P500だ。両指数ともテクノロジー企業の構成比が高く、テクノロジー株は将来の利益を元に評価される成長株であるため、高金利で将来利益の現在価値が下落する。
金利が高止まりすれば、将来利益の現在価値が減少する。ダウを構成する工業、エネルギー、消費関連銘柄はこうした影響を受けにくい。
ここでもう1つ注目すべきは資本の行方だ。和平合意成立後、最大の恩恵を受けたのはイラン情勢で最も値下がりしていた資産だ。欧州工業株、日本の輸出関連、エネルギー依存型セクターがそれにあたる。STOXX600は過去最高値を更新。日本の株価指数「日経」も初めて7万超えとなり約5%急騰した。
資金は急速にこれらに流れ、紛争中に底堅かった米国の高PERテック株から一部が流出した。
さらにスペースXも話題に上った。SPCXとしてナスダックに上場し、株価は6月12日のIPO価格135ドルから一時220ドル近くまで急騰、一時的にアマゾンを上回った。新規上場銘柄がこれだけ注目されると資金を吸収し、その一部は新規投資ではなく既存のナスダック銘柄からの乗り換えとなる。
ナスダックとS&P500が下落しているのは投資家が懸念しているからではない。単に、より魅力的な投資先が現れたという理由である。
