イーサリアム(ETH)価格は6月の安値から22%反発し、機関投資家が注視するトレンドラインを再び上回った。この動きは、数週間続いた換金の流れが終わり、スポットETFへの資金流入がETHに戻ったタイミングで生じている。
下落局面でもクジラは買い増しを継続し、オンチェーンでの蓄積も回復傾向を示している。ただしレバレッジの上昇が見られるため、この反発が本当に大底なのか、下落トレンド内の一時的な戻りなのかは依然不透明である。
6月14日にイーサリアム価格は月間VWAP(出来高加重平均価格)を再び上抜けた。このVWAPは、多くの投資家が蓄積と分配の分岐点とみなす重要指標である。
今回の回復が注目されるのは、過去の同様の動きが上昇につながったためである。4月6日にETHが同じラインを突破した際は、上昇率が約19%に達した。その後5月1日前後の再突破では7%ほどの上昇にとどまった。
これらの再突破には共通点がある。数日以内にスポットETFへの資金フローがプラス転換した。まるでライン突破が機関資金を呼び戻したかのようであった。
こうした因果関係があるのか、あるいは単に楽観ムードの回復を示すだけなのかは証明が難しい。それでもこのパターンは繰り返されている。
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そのため最新のETF統計をまず確認する必要がある。
予想通り転換はすぐに現れた。ETHスポットETF商品には6月15日、VWAP再突破の翌日に2250万ドルの資金が流入した。
このプラス転換は、長い間続いた苦しい流出トレンドを断ち切るものだ。5月11日から6月12日までは取引日ベースで2日を除きほぼ連続して資金流出が続いた。春との対比は鮮明だ。5月初旬には1日に1億100万ドル、5日に9800万ドルなど大型流入があった。
ETF総純資産は現在約100億400万ドル。小幅な流入ながら、4月や5月の再突破時と同じ傾向を示している。5月のVWAP再突破時も複数回にわたり資金流入日が観測された。今回も下値固めのシナリオ通りにいくなら同様の展開が期待できる。
ただしETFフローだけでは大底を確証できない。その判断にはオンチェーン保有者の動向がより重要となる。
大口保有者はVWAPライン突破前からETHを信じていた。クジラの買い増しは下落中も続いた。Santimentが追跡するアドレスは6月10日時点で1億2485万ETH強を保有していたが、現在は約1億2540万ETHとなっている。この1週間で約9億5000万ドル分の増加に相当する。
その買い姿勢を裏付けるように、オンチェーンフローも堅調である。6月7日ごろで大規模な売りが収束した様子がある。この日は価格が一時的な安値を付けた翌日にあたる。取引所への資金純移動量(コインの入出金差分)は純流出に転じた。
この変化は、保有者が取引所からコインを引き上げ売却を控える姿勢へと転換したことを示す。前述のクジラの買いと符合し、取引所に持ち込まれた残りの供給を着実に吸収した格好である。
結果として売り手の消耗(エグゾースション)が現れ、今が大底との指摘が生まれる要素となっている。
背景は底打ちの可能性を示唆する。Swissblock社のAltcoin Vectorレポートは、イーサリアムが長期的な投げ売り局面、すなわち底値形成前にしばしば現れる深刻かつ持続的なストレス段階にあると指摘。
同社は、投げ売りが底値を形成するのは売り圧力が収束し始めてからだと述べる。現時点でその収束が近いのかどうかに注目する。取引所純ポジション変化の指標は、その可能性を示している。
ただし、底打ち判断を複雑にする要因がある。それはデリバティブ市場だ。
ここで価格帯が注目される。イーサリアムは1,771ドル近辺で推移し、6月14日に回復した月間VWAP(1,705ドル)を上回る水準。価格は6月の安値(1,507ドル付近)から約22%上昇。しかし、底値確定にはさらなる条件が必要。
重要水準は1,851ドルにある。日足でこの水準を上回れば、反発が確認され、過去のレンジ復帰の余地が広がる。
注目すべきはレバレッジだ。ETH先物の未決済建玉総額は急増。6月初めの約88億6,000万ドルから約99億6,000万ドルへ上昇し、一時102億7,000万ドルに到達した。
持続的な下げ止まりは、本来レバレッジが解消され低水準を維持してから形成される。しかし現状は逆で、価格上昇とともに未決済建玉が増加中。
これでは現物による純粋な需要ではなく、レバレッジ主導の反発といえる。ロングポジションが過密になれば、その反動で急落と売り圧力増加という新たな下げ局面につながりかねない。すなわち、投げ売りの完全な終息は見えていない。
下値ではまず1,624ドル、その後1,507ドルがサポート。日足で1,507ドルを下回ると、新たな底値形成シナリオが浮上する。
1,851ドルの回復が底値確定とVWAP割れを再びたどる短期反発を分かつ鍵。


